往還の尾根道再生、最初の一歩


前段の整備活動
古き往還の尾根道整備
の取り組み (2015年12月~2016年1月)

 “野河内から林道野河内線とは別に、尾根通しに井原山まで歩ける道を検討して整備してもらえないか?”という地元の方の相談を受けました。
かつては市民の身近な探勝地として訪れる人々で賑わった野河内渓谷ですが、夏の沢登りを除けば、市民の関心は瑞梅寺をベースとした水無鍾乳洞~井原山のハイキングやミツバツツジ・オオキツネノカミソリ鑑賞へシフトして来ました。野河内渓谷沿いに拓かれた林道の単調な歩きや、そこへ入り込むバイクを敬遠して登山者やハイカーの足が遠退いている事も考えられます。林道自体の荒廃も進んでいます。

 野河内渓谷の自然を活かしながら、もっと多くの市民が楽しめるフィールドにできないか?と、地元の方々も動き出されています。杉・ヒノキの植林・勢力を広げた孟宗竹に覆われた里山は光が差し込まず一年中表情を変えません。植林地の手入れや孟宗竹の伐採、あと地への落葉広葉樹の植樹などの地道な活動が続けられていますが、なかなか里山の表情が変わってくれません。
 脊振山系は日頃からお世話になっている山域であり、週末をりようして継続した整備活動が行えるという事から、2015年12月に尾根道の検討・整備を計画・実施することにしました。

ルートの選定や整備作業場で注意すべき点として以下の基本点を設けました。

  ①高圧鉄塔~646m~693mの尾根を利用する。
  ②野河内渓谷ベンチ周辺に第二の取付き点を一箇所作る。
  ③主尾根の山作業道を生かして一般登山者向けの安全な取付き点を一箇所作る。
  ④植林地に踏み込むルートは極力避けて、可能な限り尾根を忠実にトレースする。
  ⑤下草、ルート上の低木の伐採、倒木の片付け、無用なテープ類の片付けを行う。
  ⑥取付き二箇所、その合流点、自然歩道との合流点に標識板を設置する。
  ⑦基本の整備を春山のシーズンに間に合わせる。
  ⑧福岡想山会のHPに整備したルート情報を掲載する。


  
    (整備前の鉄塔尾根取り付き点)        (取り付きに踏み込むといきなりの竹林)       (取り付き点から尾根末端に続く竹林)  





想う気持ちが道をつなげる  想山会の有志が集う


古き往還の尾根道整備
の取り組み (2016年1月~2016年5月)        尾根道の整備活動報告(PDF)

 2016年1月9日に尾根下見を兼ねて初回の整備行動。尾根はしっかりしており、自然林も豊富で歩きやすい事が判りました。2回目の整備作業より福岡想山会有志の協力が得られるようになった事で、通算6日目となる2月11日に主尾根ルート上の障害物を取り除き、自然歩道につなぎました。

 野河内からの尾根道ルート整備情報を公開して2ヶ月後の脊振山系山開きを迎える頃には、このルートに関する利用記録が個人ブログや登山専門サイト(ヤマップ・ヤマレコなど)に取り上げられる事が増えて来ました。ネット上で記録を公開していないハイカーも少なく無いと考えると、「野河内〜井原山〜水無〜野河内林道〜野河内」の周回コースが受け入れられつつあると思われます。

 もちろん、水無鍾乳洞周辺や井原山の山野草鑑賞・撮影を主目的としたハイカーは従来通り水無の駐車場をベースにしていますし、利用者数でも圧倒している事に変わりはありませんが、それで良いと思います。

 野河内から尾根道を歩いて井原山ー水無鍾乳洞ー野河内林道を周回しようと考えるハイカー・登山者は、山野草の撮影は主目的では無い場合が想定されます。尾根道整備の目的のひとつは、自然林・雑木林の中をある程度の距離歩いて井原山を周回したいと考えるハイカー・登山者に野河内林道以外の選択肢を提供するという点にあります。その意味では、ハイカー・登山者の目的や嗜好、更には力量によって決まる「選択の幅」を広げたという事になります。

 整備された(鉄塔尾根)は概ね歓迎されていると思いますが、貴重な感想も収集できました。それらの情報を今後の整備活動に活かして行きたいと思います。これまでは、尾根道整備の道筋を付けるために、山岳会の有志による整備活動でしたが、福岡市民の水源の一つである曲渕ダムの重要性、それを涵養する脊振山系の森林の現状、動植物の分布状況、沢や谷の状態、登山道の利用状況、更には曲渕地域・野河内渓谷流域の水源林の保全・整備などに対して楽しみながら関われるような機会を提案・発信して行きたいと思います。

水源の森を観察しながらハイキング・登山を楽しむ事を通して、その保全のために自分も楽しくかかわりたいという感情・問題意識を醸成する一つの機会となれば幸いです。


   
 (主尾根道と急登尾根道分岐に標識設置)          (休憩地にベンチ設置)         (自然観察路・縦走路との分岐に標識設置)

  
(尾根道は雑木に包まれて歩きやすい)


    
(炭焼き用に伐採した雑木のヒコバエ)   (要所に補助ロープ設置)  (落ち葉を敷き詰めた尾根)  (見た目より実際は急坂です)


(野河内渓谷のベンチ脇の取り付き点に標識設置)



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